エストニアは基本的にゼロゼロ税制!!!
先日、エストニアの首都タリン市内にある国税局事務所へ訪問してきました。
エストニアの税制について、基本的な部分を確認するためです。
日本人が、e-Residency cardを取得し、エストニアに株式会社を設立したケースに絞って確認してみました。
またその会社の代表者=日本人(外国労働者+居住者)がエストニアに移住するケースについても尋ねてみました。
エストニアの税制は至ってシンプル・イズ・ベストの極みです。世界各国の税制を調査評価しているワシントンDCの調査機関でも、毎年世界No.1の税制国家として紹介されています。
まとめてみますと・・・
1)法人所得税は配当をしない場合はゼロです。内部留保を続ける限りゼロです。配当を出す場合は20%の課税になります。
2)個人所得税は20%です。ただし、非課税、経費、所得控除については日本のそれとは異なりますので、20%以下になるよう節税は可能です。
3)労働者が会社から天引きされて、国に収めるものとして、所得税の他に健康保険料、失業保険料等があります。いわゆる社会保険料は約13%ぐらいです。外国人労働者の法定・最低賃金は月額1146ユーロです。
ですのでそのうち20+13=33%が会社によって天引き後、毎月政府へ納付されます。残りが会社から労働者の銀行口座に手取り給料額として振り込まれます。税金の還付請求は、日本の場合、年に1回ですが、エストニアの場合、随時月単位で申請できるようです。計算・還付・送金手続きはすべて国税局職員がオンラインで対応してくれます。
4)エストニアの法人所得ですが、税制が日本とは違い、その国内源泉、所得のみが課税対象であり、国外源泉所得は課税され.ない=領土内課税方式(テリトリアル方式)を取っています。つまり、エストニア法人が国外でいくら稼いでもそれはエストニア国内では課税されないという税法になっています。
日本の税法はまったく逆で、「全世界所得課税方式+外国税額控除方式」(ワールドワイド方式)です。そのため、日本の法人もエストニアの法人も日本国内においては、二重課税される可能性があります。そのため、それを回避する目的で、2017年8月31日、日本とエストニア間で「租税条約」が締結されました。
アメリカも現在は、全世界所得課税方式ですが、トランプ政権の下、エストニアと同様の領土内課税方式に移行しようとしているようです。
5)法人・個人に対して地方税はゼロ
6)相続税・贈与税はゼロ
7)不動産譲渡税はゼロ(不動産売買で利益が生じた場合のみ20%課税)
8)不動産取得税はゼロ
9)固定資産税は土地公示額に対して課税(ほぼゼロに近い額)
例)首都タリン市内 マンション・60㎡・価格10万ユーロ=固定資産税・毎年・14ユーロのみ=0.014%
不動産所有者は基本的に、地方税も取得・譲渡税もありません。毎年ほぼゼロに近い固定資産税を払うだけです。土地の固定資産税は場所によっては完全にゼロです。